2018年01月22日

細胞接着分子が神経細胞同士を適切につなぐ仕組み

深井 周也(蛋白質複合体解析研究分野 准教授)
伊藤 桜子(蛋白質複合体解析研究分野 助教)
吉田 知之(富山大学大学院医学薬学研究部(医学)准教授)
Nature Communications(英国時間1月18日(木)午前10時、日本時間1月18日(木)午後7時)

発表概要

東京大学分子細胞生物学研究所(白髭克彦所長)の深井周也准教授らのグループは、細胞接着分子SALMとPTPδが結合した状態の立体構造を決定し、神経細胞同士を適切につなぐ仕組みを解明しました。神経細胞間の接続部であるシナプス(注1、図1)の形成と再編は、脳発達期の神経回路の形成や記憶学習の際に起きる重要なステップであり、その調節機構の破綻は自閉症などの神経発達障害の発症と密接に関連することが示唆されています。神経発達障害の発症に関連する細胞接着分子であるPTPδ(注2)とSALM(注3)は、それぞれ軸索終末と樹状突起に発現し、選択的に相互作用することでシナプス前終末の分化誘導を促します。深井准教授らの研究グループは、PTPδとSALMが結合した状態の立体構造(図2)をX線結晶構造解析(注4)の手法で決定することによって、これらの分子が選択的に相互作用する分子機構を明らかにしました。さらに、二つのSALM分子と二つのPTPδ分子が相互作用してシナプスが形成されることを見いだしました。本成果は、神経回路形成のメカニズムの解明や自閉症などの神経発達障害の発症機構に関わる、今後の研究に役立つ知見になると期待されます。

雑誌名等

雑誌名:Nature Communications(オンライン版:1月18日)
論文タイトル:Structural basis of trans-synaptic interactions between PTPδ and SALMs for inducing synapse formation
著者:Sakurako Goto-Ito, Atsushi Yamagata, Yusuke Sato, Takeshi Uemura, Tomoko Shiroshima, Asami Maeda, Ayako Imai, Hisashi Mori, Tomoyuki Yoshida and Shuya Fukai
DOI番号:10.1038/s41467-017-02417-z

問い合わせ先

【研究に関すること】
東京大学分子細胞生物学研究所 蛋白質複合体解析研究分野
准教授 深井 周也(ふかい しゅうや)

富山大学大学院医学薬学研究部
准教授 吉田 知之(よしだ ともゆき)

【JST事業に関すること】
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

【報道に関すること】
科学技術振興機構 広報課