2018年01月04日

新しい分子進化解析法によって約25億年前に起こった遺伝子制御システム複雑化の仕組みを明らかにした

堀越 正美(発生分化構造研究分野 准教授)
Cell Reports (米国東部時間12月26日、日本時間12月27日)

発表概要

約60年前、ポーリングらによりDNAや蛋白質の配列解析に基づく分子進化学(注1)という分野が生まれたが、古代生物のDNAが化石として残ることはないため、太古の分子進化を探ることは不可能であった。高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の安達成彦・千田俊哉および東京大学 分子細胞生物学研究所の堀越正美は、DNAや蛋白質に含まれる繰り返し配列に着目し、進化の過程で生じた現存遺伝子と祖先遺伝子の違いを算出できる新しい解析法を昨年考案した(参考文献)。この解析法を使って、約35億年前、遺伝情報(注2)を取り出す転写(注3)開始システムに起こった進化の仕組みの一端を明らかにした。

今回、理化学研究所 統合生命医科学研究センターの川上英良、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の安達成彦・千田俊哉および東京大学 分子細胞生物学研究所の堀越正美は、約25億年前に古細菌(注4)から真核細胞(注5)が誕生したときの、転写開始システムの複雑化が起こった仕組みを明らかにすることに成功した。転写開始を指令するTBP(TATAボックス結合因子:TATA box-binding protein)(注6)の繰り返し配列に起こった変異が真核生物では高度に保存されたため、真核生物TBPには多くの転写関連因子が相互作用することで、複雑化の一途をたどったことが明らかとなった。

太古の時代に起こった進化の仕組みを明らかにしたことにより、本研究グループが独自に開発した進化指標を用いて、解かれることのなかった分子進化上の様々な疑問を解明できると考えている。

 参考文献:    Scientific Reports, 6, 27922 (2016)
Uncovering ancient transcription systems with a novel evolutionary indicator
Naruhiko Adachi, Toshiya Senda, Masami Horikoshi

雑誌名等

雑誌名:Cell Reports
論文タイトル:Leading role of TBP in the establishment of complexity in eukaryotic transcription initiation systems
著者:Eiryo Kawakami, Naruhiko Adachi, Toshiya Senda, Masami Horikoshi*
DOI番号:10.1016/j.celrep.2017.12.034

問い合わせ先

東京大学 分子細胞生物学研究所 発生分化構造研究分野
准教授 堀越 正美(ほりこし まさみ)