【プレスリリース】遺伝子の発現調節を担うアルゴノートタンパク質の品質管理機構を解明
細胞内の「イルカ」が悪いアルゴノートを食べる(RNA機能研究分野)

アルゴノート(注1)と呼ばれるタンパク質は、マイクロRNA(注2)と呼ばれる小さなRNAと結合することで、きわめて多様な遺伝子の発現を抑制することが知られています。この現象はRNAサイレンシング(注3)と呼ばれており、発生や神経機能からガンをはじめとする疾患まで、さまざまな生命現象に関わっています。不思議なことに、アルゴノートはマイクロRNAと結合した状態では安定である一方、マイクロRNAと結合していない「空の」状態では細胞内からすぐに分解されてしまうことが知られていました。しかしながら、一体どのような仕組みで空のアルゴノートだけを選択的に分解しているのか、そしてこの現象にどういった意義があるのかについては、これまで明らかになっていませんでした。

今回、東京大学定量生命科学研究所の小林穂高助教(研究当時)、泊幸秀教授らの研究チームは、空のアルゴノートの選択的な分解を引き起こすタンパク質を発見し、このタンパク質を「イルカ」(英語表記はIruka)と名付けました。細胞内からイルカを無くすと、マイクロRNAと結合できない品質の悪いアルゴノートが蓄積し、RNAサイレンシングの効率が低下することを見出しました。本研究成果は、遺伝子の発現調節を担うアルゴノートの品質管理機構を解き明かした画期的な研究成果であるとともに、RNAサイレンシングの異常と関連する病態の理解にも貢献することが期待されます。

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