研究分野の概略

本研究分野は“真核生物のクロマチンを試験管内で組み立てて(再構成し)、クロマチンの立体構造や性質を理解する”というアプローチで、クロマチンによる生命現象の制御という神秘のメカニズムを解明しようとしています。

研究内容の紹介

真核生物のクロマチンを試験管内で組み立て、クロマチンが制御する生命現象を解き明かします。

私たちの体の中では、遺伝情報はゲノムDNAとして保持されています。1つのヒト細胞には、およそ2メートルものゲノムDNAが収納されています。そのためにゲノムDNAは、4種のヒストンタンパク質の周りに巻き付き、ヌクレオソームという構造を形成することで、コンパクトに折りたたまれています。このヌクレオソームが数珠状に連なり、さらにさまざまなタンパク質やRNAが結合して、クロマチンが構築されています。
細胞内のクロマチンは、さまざまな因子からなる巨大かつ不均一な複合体ですので、細胞からクロマチンを直接集めて構造や性質を調べることはできません。そこで、私たちの研究室では、クロマチンが生命現象を制御するメカニズムを解明するために、“再構成クロマチンを用いて試験管内で生命反応を再現させる”というアプローチを行なっています。高純度に精製したDNAとタンパク質を用いることにより、均一なクロマチンを試験管内の中で組み立てる (再構成する)技術を確立しています。このような再構成技術を用いて、遺伝子の読み取り制御に重要なクロマチン、がん細胞に特徴的なクロマチン、転写因子等のさまざまな核内タンパク質が結合したクロマチンなど、さまざまな機能的なクロマチンの構造、動態、機能発現機構などを、生化学的手法、X線結晶構造解析法、そして最新のクライオ電子顕微鏡解析法などによって明らかにしています。

本研究室では、クロマチンが生命現象を制御するメカニズムを解明するために、“再構成クロマチンを用いて試験管内で生命反応を再現させる”というアプローチを行なっています。これまでに、染色体セントロメアCENP-Aヌクレオソーム、クロマチンの転写開始点に存在するオーバーラッピングジヌクレオソーム、構成的ヘテロクロマチン基盤構造、RNAポリメラーゼIIがヌクレオソーム上を転写している構造など、さまざまな生命現象を担うクロマチンの構造機能解析に成功しています。

最近の研究成果

論文一覧

  1. Kujirai T, Ehara H, Fujino Y, Shirouzu M, Sekine SI, Kurumizaka H, Structural basis of the nucleosome transition during RNA polymerase II passage (2018) Science, doi: 10.1126/science.aau9904. [Epub ahead of print]
  2. Arimura Y, Ikura M, Fujita R, Noda M, Kobayashi W, Horikoshi N, Sun J, Shi L, Kusakabe M, Harata M, Ohkawa Y, Tashiro S, Kimura H, Ikura T, Kurumizaka H, Cancer-associated mutations of histones H2B, H3.1 and H2A.Z.1 affect the structure and stability of the nucleosome (2018) Nucleic Acids Res. doi: 10.1093/nar/gky661. [Epub ahead of print]
  3. Takizawa Y, Tanaka H, Machida S, Koyama M, Maehara K, Ohkawa Y, Wade PA, Wolf M, Kurumizaka H, Cryo-EM structure of the nucleosome containing the ALB1 enhancer DNA sequence (2018) Open Biol. pii: 170255. doi: 10.1098/rsob.170255.
  4. Machida S, Takizawa Y, Ishimaru M, Sugita Y, Sekine S, Nakayama JI, Wolf M, Kurumizaka H, Structural Basis of Heterochromatin Formation by Human HP1
    (2018) Mol. Cell 69(3):385-397.e8. doi: 10.1016/j.molcel.2017.12.011.
  5. Koyama M, Kurumizaka H. Structural diversity of the nucleosome (2018) J Biochem. 163(2):85-95. doi: 10.1093/jb/mvx081. Review.
  6. Kato D, Osakabe A, Arimura Y, Mizukami Y, Horikoshi N, Saikusa K, Akashi S, Nishimura Y, Park SY, Nogami J, Maehara K, Ohkawa Y, Matsumoto A, Kono H, Inoue R, Sugiyama M, Kurumizaka H, Crystal structure of the overlapping dinucleosome composed of hexasome and octasome (2017) Science, 356(6334):205-208. doi: 10.1126/science.aak9867
  7. Koyama M, Nagakura W, Tanaka H, Kujirai T, Chikashige Y, Haraguchi T, Hiraoka Y, Kurumizaka H, In vitro reconstitution and biochemical analyses of the Schizosaccharomyces pombe nucleosome (2017) Biochem Biophys Res Commun, 482(4):896-901. doi: 10.1016/j.bbrc.2016.11.130. Epub 2016 Nov 24.
  8. Kujirai T, Machida S, Osakabe A, Kurumizaka H, Influence of polynucleosome preparation methods on sedimentation velocity analysis of chromatin (2017) J Biochem, 161(4):381-388. doi: 10.1093/jb/mvw081.
  9. Tachiwana H, Kagawa W, Shiga T, Osakabe A, Miya Y, Saito K, Hayashi-Takanaka Y, Oda T, Sato M, Park SY, Kimura H, Kurumizaka H, Crystal structure of the human centromeric nucleosome containing CENP-A (2011) Nature 476(7359):232-5. doi: 10.1038/nature10258.
胡桃坂 仁志 教授
Hitoshi Kurumizaka
博士(学術)
理学系研究科生物科学専攻
佐藤 祥子 特任助教
Shoko Sato
博士 (農学)
鯨井 智也 助教
Tomoya Kujirai
博士(理学)
野澤 佳世 助教
Kayo Nozawa
博士(理学)
小山 昌子 助教
Masako Koyama
博士(理学)
滝沢 由政 助教
Yukimasa Takizawa
博士(理学)