研究分野の概略

私たちの研究室は、生きたショウジョウバエ初期胚で遺伝子発現を可視化する独自のライブイメージング技術を駆使して、エンハンサーと呼ばれる非コードDNAを介した転写制御動態の解明を目指しています。

研究内容の紹介

個体発生における転写制御動態を一細胞レベルで可視化し理解する

転写制御において中心的な役割を担っているのはエンハンサーと呼ばれる非コードDNAです。エンハンサーは配列特異的な転写因子との結合を介して、標的遺伝子の転写活性を時空間的に緻密に制御しています。現在、ヒトゲノム中には少なくとも40万以上ものエンハンサーが存在すると見積もられており、1つの遺伝子に対しておよそ20近くのエンハンサーが働いていると考えられます。こうしたエンハンサーを介した遺伝子発現制御の多様化が、高等真核生物の複雑な形態形成を可能にしています。さらに、遺伝子本体の異常よりもむしろエンハンサーの変異が癌をはじめとする疾患と密接に関わることが相次いで報告されるなど、その生物学的重要性がかつてないレベルで明らかとなりつつあります。しかし一方で、エンハンサーが転写を制御する根本的な仕組み、特にその時間的性質は全くと言ってよいほど理解されていません。我々は生きたショウジョウバエ初期胚において転写活性をリアルタイム計測する独自のライブイメージングを駆使することにより、これまでにない新たな切り口からセントラルドグマを理解することを目指します。

我々は生きたショウジョウバエにおいて転写活性を可視化する最先端のライブイメージング技術を駆使して、研究を行っています。この手法により、エンハンサーが転写を活性化する様子を一細胞レベルでリアルタイムに理解することが初めて可能となりました。さらに、ゲノム編集や生化学、オプトジェネティクスなどの新たな手法を組み合わせることにより、従来のバルク解析ではアプローチできなかった未知なるエンハンサー作用動態の解明に挑みます。

論文一覧

  1. Temporal dynamics of pair-rule stripes in living Drosophila embryos
    Lim B, Fukaya T, Heist T, Levine M.
    Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 115(33):8376-8381
  2. Visualization of transvection in living Drosophila embryos
    Lim B, Heist T, Levine M, Fukaya T.
    Molecular Cell. 70 (2), 287-296.
  3. Transvection
    Fukaya T, Levine M
    Current Biology. 27 (19), R1047-R1049, 2017
  4. Rapid rates of Pol II elongation in the Drosophila embryo.
    Fukaya T, Lim B, Levine M
    Current Biology. 27 (9), 1387–1391, 2017
  5. Enhancer control of transcriptional bursting.
    Fukaya T, Lim B, Levine M
    Cell. 166 (2), 358–368, 2016
  6. CCR4 and CAF1 deadenylases have an intrinsic activity to remove the post-poly(A) sequence.
    Niinuma S, Fukaya T, Tomari Y
    RNA. 22 (10), 1550-1559, 2016
  7. MicroRNAs block assembly of eIF4F initiation complex in Drosophila.
    Fukaya T, Iwakawa HO, Tomari Y
    Molecular Cell. 28;48(6):825-36, 2014
  8. MicroRNAs mediate gene silencing via multiple different silencing pathways in Drosophila.
    Fukaya T, Tomari Y
    Molecular Cell. 28;48(6):825-36, 2012
  9. RNA processing bodies, peroxisomes, Golgi bodies, mitochondria, and endoplasmic reticulum tubule junctions frequently pause at cortical microtubules.
    Hamada T, Tominaga M, Fukaya T, Nakamura M, Nakano A, Watanabe Y, Hashimoto T, Baskin TI.
    Plant and Cell Physiology. 53(4):699-708, 2012
  10. PABP is not essential for microRNA-mediated translational repression and deadenylation in vitro.
    Fukaya T, Tomari Y.
    The EMBO Journal. 30(24):4998-5009, 2011
深谷 雄志 講師
Takashi FUKAYA
Ph.D.
総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系
余越 萌 助教
Moe Yokoshi
Ph.D.