小林武彦教授が2016年度日本遺伝学会木原賞を受賞

東京大学分子細胞生物学研究所ゲノム再生研究分野 小林武彦(こばやし たけひこ)教授が、2016年度日本遺伝学会木原賞を受賞することが決定いたしました。日本遺伝学会木原賞は、コムギの研究で遺伝・進化学の分野で世界的な業績を残された木原均博士を称えて設立され、遺伝学の分野ですぐれた業績をあげた者に授与されます。過去には大野 乾博士(進化学、米国科学アカデミー会員)や利根川 進博士(ノーベル生理学賞受賞)などの世界的に著名な研究者が受賞しています。小林教授は1992年九州大学大学院医学系研究科博士課程修了、日本学術振興会特別研究員、基礎生物学研究所助手、米ロッシュ分子生物学研究所研究員、米国立衛生研究所(NIH)研究員、基礎生物学研究所助教授、国立遺伝学研究所教授を経て、2015年4月より本学分子細胞生物学研究所教授を務めております。
今回の受賞は「リボソームRNA遺伝子の維持機構とその生理作用の研究」に関する業績が高く評価されました。
授賞式は2016年9月8日に第88回日本遺伝学会大会(三島市)で行なわれます。

主な研究内容

リボソームRNA遺伝子は、真核細胞では100コピー以上が連なる最多遺伝子あり、その増幅・維持機構は長年の謎でした。小林教授らは、リボソームRNA遺伝子の増幅組換えを誘導するDNA複製阻害メカニズムを解明しました。また増幅組換えに関わる非コードRNAの転写活性を見つけました。これらはいずれも、それまで知られていなかった染色体の新しい機能です。さらにその非コードの転写制御に関わるSir2タンパク質は、リボソームRNA遺伝子の安定性を介して細胞老化を抑制していることを発見しました。その後Sir2は、ヒトやマウスにも存在することが判明し、サーチュインと名付けられマウスの老化抑制にも関与していることが報告されています。現在サーチュインはヒトのアンチエイジングのキータンパク質として注目を集めています。