所長挨拶

2017 年4 ⽉1 ⽇より分⼦細胞⽣物学研究所(分⽣研)所⻑を拝命しました。分⽣研は、19分野の精鋭研究室が、⽣命の神秘を解き明かすべく学際的研究に邁進しています。

私の⼤切にしている⾔葉に2002 年にノーベル賞を受賞したSydney Brenner 博⼠が科学の進歩について述べた以下の⾔葉があります。

Progress in science depends on new techniques, new discoveries and new ideas,probably in that order.

新しい技術⾰新は常に科学の新たな地平線を我々に⽰してくれます。この⾔葉通り、従来以上に、各研究者のフロンティアスピリットを尊重し、独⾃の技術開発やシーズにより⽣命現象を様々な⾓度から掘り下げ、新たな発⾒から、新規コンセプトやアイディアを⽣み出すような研究を推進していきます。そのため、「⽣体機能分⼦の構造と機能の解明」を共通のキーワードとし、これまでにもまして構造⽣物学、⽣物情報学を駆使し、さらに数理、物理、⼈⼯知能研究なども柔軟に取り⼊れ、定量性を重視した新しい⽣命科学研究を展開します。

当研究所では染⾊体、noncoding RNA、膜タンパク、神経系、幹細胞、癌、希少疾患、など多様な研究が展開されています。この利を活かし、内外部の研究者間での分野横断的共同研究開発も活発に⾏っていきたいと考えています。既に、幾つかの世界に誇れる解析技術を背景に、国内の12 の研究機関や⼤学、さらに欧⽶を中⼼とした8つの国の20 の研究機関と質の⾼い国際共同研究が展開されています。特に、タンパク質の⾼次構造決定を基盤とした⽣命現象の解明の分野では、放射光分野国際融合卓越拠点とリンクし、物質科学と⽣命科学の融合した新たな学問として「電⼦場⽣物学」を⽬指すなど、本学の構造⽣物学のメッカとしての機能も果たしています。今後、これら最先端の研究成果を社会に還元すべく、創薬をはじめとした応⽤研究、企業との共同研究も活発に⾏っていきます。

また、最先端の研究の場を⽣かした教育こそが、次世代の研究者を育成するための最も有効な⼿段であるとの考えのもと、若⼿研究者や⼤学院⽣の受け⼊れも積極的に⾏います。若⼿研究者の育成ではテニュアトラック制度を最⼤限活⽤し、「孤⽴なき⾃⽴」を合⾔葉に全所⼀丸となって充実した研究環境と独⽴の機会をこれまでも提供して参りました。年に3回、若⼿の研究交流会や研究倫理セミナー、統計学セミナーを開催するなど研究交流、教育にも従来通り⼒を⼊れていきます。

現在、⽇本の基礎科学研究が極めて厳しい状況にあることは⾔うまでもなく、研究の卓越性と多様性を維持することがますます困難な状況に陥っています。このような難局に対処すべく、コアラボの設置、ラボマネージャーの登⽤による研究の効率化、URA の登⽤による他⼤学との連携や企業連携、外部資⾦の円滑な導⼊、独⾃解析技術の⼀般への提供などを推し進め、研究の幅と予算選択肢の拡充化を図ります。また、優れた外国⼈研究者を含む外部運営委員会を設置し、定期的に助⾔を受けつつ、困難な状況下にあっても研究の卓越性の向上と若⼿の育成に取り組む所存です。この伝統ある研究所の⻑を任されたからには、皆様のご指導を仰ぎながら、研究所の発展、改⾰、に誠⼼誠意取り組む覚悟です。また、このような取り組みがひいては⽇本の科学技術の発展につながればと思います。どうかよろしくお願いします。

2017 年4⽉1⽇

 

⽩髭克彦