【プレスリリース】てんかんの原因タンパク質が神経細胞間の橋渡しをする仕組みを解明(蛋白質複合体解析研究分野)

東京大学定量生命科学研究所(白髭克彦所長)の深井周也准教授と山形敦史助教、生理学研究所の深田正紀教授の共同研究グループは、てんかんの原因となる分子LGI1(注1)とその受容体であるADAM22(注2)が結合した状態の立体構造を決定し、変異マウスを用いた実験を行うことで、発症原因が不明であったLGI1の変異に関して、新たな発症の仕組みを明らかにしました(図1)。遺伝性てんかんの一つである常染色体優性外側側頭葉てんかん(Autosomal Dominant Lateral Temporal Lobe Epilepsy:ADLTE)の原因となる分子LGI1は、神経細胞が分泌するタンパク質の一つで、ADAM22ファミリーのタンパク質(ADAM22、ADAM23、ADAM11)と結合して機能することが知られています。自然科学研究機構生理学研究所の深田正紀教授らのグループは、LGI1の変異が分泌不全あるいはADAM22ファミリーとの結合の異常を引き起こすことで、てんかんの発症に繋がることを明らかにしてきました。しかし、本病態の全容解明に必要なLGI1–ADAM22複合体の分子構造基盤は明らかになっていませんでした。今回、深井准教授らの研究グループは、LGI1とADAM22が結合した状態のタンパク質立体構造(図2)をX線結晶構造解析(注3)、低温電子顕微鏡(注4)、X線小角散乱(注5)や多角度光散乱(注6)を組み合わせて解析することによって、LGI1同士の結合を介してADAM22ファミリーのタンパク質が神経細胞間の橋渡しをする様子を明らかにしました。さらに、ヒトてんかん変異を有するてんかんモデルマウスでは、この神経細胞間の橋渡しが破綻していることを明らかにしました。本成果は、てんかん病態とそれに関連する神経活動の分子機構に関わる今後の研究に役立つ知見になると期待されます。

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